イタリア・ビエラ、毛織物の聖地
アルプス山脈の麓に広がる小さな町、ビエラ。世界中のテーラーが信頼を寄せる「ビエラ・クオリティ」とは、何によって生まれているのか。RIMETRY の生地が辿ってきた道のりを訪ねる。
水が織る、最高峰のウール
ビエラの強みは、何よりもまず「水」にある。アルプスから流れ落ちる清流は、極めて軟水で、ミネラル分が少ない。これがウールを洗う工程で、繊維の表面に余分なものを残さない仕上がりを実現する。同じ羊毛を使っても、ビエラで洗うのと別の土地で洗うのでは、最終的な手触りが明らかに異なる ── そう言われる所以だ。
13世紀から続くこの織物産地は、ロロ・ピアーナ、エルメネジルド・ゼニア、チェルッティといった世界的高級ブランドの本拠地でもある。彼らが求めるのは「手で触れた瞬間に分かる質感」。その極限を、ビエラの工房は何世代にもわたって追求してきた。
家族経営が紡ぐ、譲れない哲学
ビエラの工房の多くは、今も家族経営である。父から子へ、子から孫へ。何代にもわたって受け継がれる織りの技術と、目利きの感覚。「ここまでが私たちの仕事」という線引きを、彼らは決して妥協しない。
RIMETRY が取り扱う Royal Twill シリーズも、こうした家族工房の一つで織られている。一日に織れる長さは限られ、生産量を増やせば品質が落ちる ── その葛藤の中で、彼らは生産量より品質を選び続けてきた。
「ビエラ・クオリティ」の正体
結局のところ、ビエラ・クオリティとは何か。それは、水であり、技術であり、哲学である。そして何より、「妥協しない」という選択を何世代にもわたって続けてきた人々の意志そのものだ。
RIMETRY は、その意志を日本に届けたいと考えている。10cm単位での販売を始めたのも、この生地を「特別な人だけのもの」にしたくなかったからだ。手の届く形で、本物に触れてほしい。